“自分らしく生きていく人を増やす”それが生きがいでありワクワクし続けること【ブランディングプランナー太田悠子さん後編】

前編では、太田悠子さん(以下悠子さん)がブランディングプランナーに導かれるまでと、キャリアを積む一方で抱えていた違和感、その違和感と向き合った育休期間のこと、育休期間に決意した想いを伺いました。この後編では、彼女の現在の活動や仕事観、今後のビジョンを聞きました。

太田悠子(Ota Yuko)

ブランディングプランナー/ヨガインストラクター 広告代理店など会社員15年を経て独立。主に個人事業主の方に向けて広報・ブランディングのサポートと産後ママ向けのヨガクラスを行うなどマルチに活躍する。

子育てと自分育て、どちらも諦めないのが悠子さん流の“心地よさ”

悠子さんは自分らしく心地よく生きていくために、育児休業中に“組織としての私ではなく、自分の名前で仕事を創る”ための種まきをしようと決めた。趣味として続けてきたヨガで、自分のことを後回しにしがちな産後のママに向けて、心地よさを大事にすることを伝えたいと考えたのだ。

生来、働くことが大好きな悠子さん。腹が決まったら、立ち止まってはいられない。学びたいというすこやかな野心と、子育てもどちらも共存させて進んでいくのが、悠子さん流の“心地よさ”。

「私にとっての心地よさは、ただ単にふわ〜っとのんびりしたものじゃなくて、自分に多少の負荷をかけてもワクワクがあること」とキラキラとした顔で語る。

「誰かの想いをカタチにするのではなく、自分の想いをカタチにしてみたい」、「子育て中の女性が繋がれるあたたかい居場所を作りたい」という情熱が悠子さんを突き動かしていく。産後2ヶ月でベビー&ママヨガの資格を子連れで学び始めた。そして、育休中に子連れで通える産後ママ向けのヨガ教室を始めたのだ。彼女自身も0歳の娘を連れてのレッスンだった。

筆者も出産経験があるが、産後2ヶ月の頃は夜もまともに眠れない日々で、ぼんやりした頭で過ごしていた記憶しかない。

産後2ヶ月で自分の本心と向き合い、実際に動き出す行動力には感服するばかりだ。同時にそれまでどれだけ忙しくスピード感のある環境に身を置いていたのだろう……と想像してしまう。悠子さんの見た目の印象はふんわりとした癒し系だが、その内側にはたくましさと底知れぬバイタリティを宿している。

個人向けのブランデイングプランナーとしても始動

第一子の育休中に始めた産後ママ向けのヨガ教室は、イベントプロデュースや、広報PRの仕事で培ったスキルと、悠子さんの親しみやすく明るい人柄ですぐに人気の教室になった。

すると、同じヨガインストラクター仲間から集客を含め様々な悩みを相談されるようになった。教室のコンセプトや伝え方次第で人の反応は変わる。これまでの経験を活かし、想いを持った人の力になりたいという気持ちが彼女の中に湧いてきた。

同じ頃、尊敬するヨガインストラクターの方から集客の勉強会をやって欲しいと声をかけられた。そこから個人でビジネスをしている人に向けた広報やブランディングの仕事もスタートしていく。

悠子さんは育休を終えて職場に復帰したが、胸の内には葛藤があった。育休中にまいた種である“組織としての私ではなく、自らの名前で仕事を創る”ことは確実に芽を出していた。

「組織で大きなプロジェクトを動かすよりも、小さくても想いがある人のサポートをする方が、今の自分の心が動く」と考え、会社を退職しフリーランスとして歩むことを選んだ。自身の居心地の悪さ、違和感をおざなりにしないと決めた彼女にとっては自然な流れだった。

現在、悠子さんはブランディングプランナーとして、フリーランスや小規模事業の経営者向けに、次の仕事を手掛けている。ブランディング&ビジネス実践講座、プロフィールや発信用の写真の撮影会のプロデュース、個別の広報・ブランディングのコンサルティングだ。

中でも、ブランディング&ビジネス実践講座は力を入れている活動だ。悠子さんがこれまで学んできたこと、大切にしている考えを詰め込んだ講座だ。5ヶ月に渡り、「自分が好きなことをカタチにしたい、けれどうまく表現できない」という悩みを持つ人に寄り添い、伴走する。

彼女自身が自分らしく社会とつながる術を身につけるまで苦しんだ経験があるからこそ、受講生の”自分らしさを活かす”ことを主軸としている。悠子さんはいつも真摯に向き合ってくれる。その真摯さは、受講生にカタチにする行動力を授けてくれる。

前編の冒頭で述べたように筆者はその講座の1期生である。悠子さんのお力を借り、個人の魅力を伝えるライティングサービスをカタチにし、モニターとして記事を書かせてもらったという経緯だ。

長年の経験で培われた事前準備力

悠子さんが仕事をするうえで大切にしているのは、入念な事前準備だ。ゴールを決めたら、逆算して何をすべきかを洗い出し、着実にやるべきことを積み重ねていく。

「とにかく事前準備が8割です。資料はしっかりと作るし、シミュレーションもしますね。逆に私はアドリブが苦手なんですよ」と笑う。

筆者が実際に悠子さんの講座を受けて感じたことは、まず資料がわかりやすい。受講生が自分で気付き、学べるように問いかけや、ワークも多い。次に話が面白い。面白いと言っても、悠子さんがギャグをかますわけではない。眠くなるような説明的な話ではなく、私たちの暮らしに根差した例を挙げてくれるので前のめりで聞きたくなる興味深い話ばかりなのだ。そして実践的だ。各々がカタチにしたいことを進められるようになっている。

講座の端々から悠子さんの熱意が感じられ、受講生がどうなって欲しいかを考え抜いていることが伝わってくる。受講生同士もお互いにエールを送り合えるあたたかな場だ。

プロフィールや発信用の写真の撮影会でも、事前に参加者に丁寧にヒアリングをしていると言う。「どんな活動をしているか、大切にしていること、今後やりたいことなどを聞いて、その人らしさが際立つ提案をしています」と語る。

この“事前準備が8割”は、彼女のこれまでの経験の中で築かれ、強固になったものだ。土台にあるのは大学時代に学んだ建築。建築物には綿密に描かれた設計図がいる。上辺だけきれいに仕上げても、安全性や耐久性が担保されなければ元も子もない。

社会人になってからも、内装の施工会社の営業職で働く頃は、細やかな工程表を作るところからスタートする。何かを曖昧にしたまま進むことはできない。空間やイベントのプロデュース、広告PRの仕事でも同じだ。華やかでクリエイティブなモノの裏では、そこに至るまでの地道なプロセスがある。悠子さんは実直にその道を何度も何度も歩んできたのだ。

事前準備をしっかりと行う理由は、受け取る相手がより輝けるように!その一点だ。相手に興味を持ち、想像力を働かせて徹底的に準備をする。なぜそこまでできるのだろうか。

「ずっとやれちゃうくらいこの仕事が好きなんです。自分が好きなことをして、相手に喜んでもらえて、それが対価としてもいただけるという循環は本当にありがたいことだなって思います」と笑顔で話してくれた。

花が咲くまで、丁寧に水をあげることができるのが悠子さんだ。ブランディング&ビジネス実践講座でも、集まったひとりひとりの花がひらくように個人が持つ特性に合わせて寄り添ってくれる。決して無理やりつぼみをこじ開けたり、肥料をあげすぎることはしない。

「受講生に対して、私がリードしてスケジュールや、やることを決めて伝えていくこともできます。でも講座が終わって、私がいないと出来ないってならないように、その人が自分で進められることは大事にしていますね」

太田悠子さんの今後のビジョン

悠子さんは、会社員として3社経験しているが、いずれも約5年間勤務している。彼女の中で5年というサイクルは一つの節目だ。第一子の育休中に自分の名前で仕事をすると決めて活動を始めてから今年2024年で5年目を迎える。悠子さんは今どんなことを描いているのだろうか。

「場所を持ちたいと思っています。ヨガのレッスンをする場であったり、プロフィールや発信用の写真の撮影会をしたり、イベントができるカフェのような気軽に集える場を作れたらと思っています。それに向けて行動していくのが次のステージだと思っています。また、自分1人でやっていくには限界があることも少しずつ感じていて、時には人の手も借りてチームで動くことも考えています。プロフィールの撮影会は、既にカメラマンとヘアメイクの方とチームで仕事をしていて、そんな風に講座でも専門性のある人にちょっと入ってもらうなどすると、もっともっと広がって、より良いものを提供していけるのではと思ってます」

彼女の新しい挑戦が始まろうとしている。

「実現していくには、大切にしたいものを大切にしながら、“自分らしく生きていく“を体現していきたい」と語る彼女はやはり幸せそうだった。

悠子さんはCOCOcreate(ココクリエイト)という屋号をつけている。

今ここ(COCO)を積み重ねること、一緒に作ること(co)、自分の人生を心地よく進んでいくこと(cocochi)そんな3つの意味が込められている。

個人で働く人はもちろん、組織で働く人であっても、自分の人生を心地よく前進させるには、“今ここ”を大事にすることから始まる。今の延長線上に、未来があるのだ。

楽しそうに活き活きと働く悠子さんの存在はまぶしく映る。しかし、彼女にも自分らしさがわからなくて、もがいていた時期もあった。そこから心の声に正直に、地に足をつけて一歩ずつ進んできたから今があるのだ。そして現在も自己を磨き続けている。

悠子さんの背中は頼もしいが、遠すぎないところにあるのも魅力だ。想いをカタチにしていきたい人にとって、その二、三歩先を行く彼女からの言葉は「何かを始めたくなる」ワクワクの種となるだろう。

1人では咲かせることが難しそうな花も悠子さんのサポートがあれば咲かせることができるかも知れないと思える。悠子さんの講座は実践的なことだけでなく、自分自身の可能性に信頼を寄せるきっかけにもなり得る。

太田悠子(Ota Yuko)

ブランディングプランナー/ヨガインストラクター  広告代理店など会社員15年を経て独立。主に個人事業主の方に向けて広報・ブランディングのサポートと産後ママ向けのヨガクラスを行うなどマルチに活躍する。

【Information】Litlink  / Instagram / stand.fm

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編集後記

悠子さんが他人に合わせて、生きづらさや違和感を感じていたと語ってくれた女子校時代。そんな中でも話を聞いていくと、「その時も悠子さんらしく生きてますやん!」とツッコミを入れたくなる可愛らしいエピソードがあるので、紹介します。

当時プリクラが大流行していたが、彼女のプリクラ帳の裏表紙には一風変わったものが貼られていたそうです。それは手書きで足の裏を描いたイラストで、そこにはツボが書き入れられてました。体の不調をよく口にしていた父の影響もあり、悠子さんは学生時代からマッサージやツボ押しが大好きだったそうです。それを見ながらツボ押しをしていたと言います。そんな子がクラスにいたら、ぜひ友達になりたいですね(笑)

本編に入りきらなかった素敵なエピソードがもう1つ。悠子さんの父の歯科医院が診療所を移転する際、プロデュースを担当した話です。悠子さんはこれまでの経験を活かし、内装を考え、HPを制作しました。悠子さんの兄2人も歯科医師として働いており、自分だけ全く別の世界に進み、少しだけ引け目を感じていた時期もあったそうです。「けれど、家族に対しても私にしかできない関わり方もあるのだと感じられ、改めて自分の道を歩んで行こうと思った」と語ってくれました。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。(執筆者:江川ともよ)


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コメント

  1. 奧山尚 より:

    悠子さんKeicoさんインタビュー読みました❗️
    とても読みごたえがありました。
    知っている人なのに知らない人のような… 知らなかった面が見れたということでしょう。

    同時に、今まで感じていた「その人らしさ」も随所に感じられました。限られた長さの中で、「らしさ」と「意外さ」を感じることかできました。

    いつかともよさん御自身のStoryを読んでみたいです。

    • 春木 ともよ より:

      尚さん、コメントありがとうございます。
      「その人らしさ」と「意外さ」を感じていただけたとのことで、丁寧に受け取ってくださり嬉しく思っています。
      これからも読みごたえのある記事を届けられるように精進していきます。

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