産後の静かなる孤独の中で自分に正直に生きることを決めた【ブランディングプランナー太田悠子さん前編】

今回ご紹介するのは、ブランディングプランナーの太田悠子さん(以下悠子さん)です。

悠子さんはブランディング&ビジネス実践講座を開催しており、筆者も受講したことがあります。

講座の初回、悠子さんは言いました。

「仕事も人生も、舵取りを人に任せないで、相談はしたとしても自分で考えて最終決定は自分自身。たくさんの選択肢の中から“選ぶ力”を養ってほしい。そして、選んだことを正解にして進んでいってほしい」

すがすがしい語り口から、本心からの言葉であり、彼女自身がそうやって道を切り開いてきたであろうことがひしひしと伝わってきました。「かっこいい!!」としびれたのを覚えています。

悠子さんの魅力は一言で表現するとギャップ。

ふんわりとした癒し系の雰囲気と、バリバリキャリアウーマンな経歴。

大胆な行動力と、人の気持ちを敏感に感じ取れる繊細な心。

テキパキとした実行力と、おっとりとした言動。

聖母のようなあたたかさと、一本筋の通った男気。

対話で感じたのは、ご自分のことをよくわかっているということ。

彼女が心地よさを大切にしようと思った経緯や、自分を活かして仕事をしていきたい人をサポートするようになったSTORYをぜひ最後までお読みください。

太田悠子(Ota Yuko)

ブランディングプランナー/ヨガインストラクター  広告代理店など会社員15年を経て独立。主に個人事業主の方に向けて広報・ブランディングのサポートと産後ママ向けのヨガクラスを行うなどマルチに活躍する。

”幸せそうでご機嫌な人“な理由

太田悠子さんは、人・モノの魅力を伝えるプランナーだ。ヨガインストラクターとしての顔も持ち、そしてプライベートでは5歳の女の子、0歳の男の子の母でもある。

いくつもの顔を持つ彼女だが、いつもふんわりとした優しい空気をまとっていて楽しそうなのだ。ピリピリした感情やイライラとは程遠い世界の住人に見える。なんだか幸せそうで、ご機嫌な人なのだ。

それは悠子さんが子育ても、働くことも第一に“心地よさ”に価値基準を置いているからだろう。彼女はぼんやりとした“心地よさ”ではなく、自分自身の“心地よい”状態をよく知っている。そして常に現在進行形で“心地よさ”を探究し続けている。

彼女にとっては、プランナーとヨガインストラクターの2つの仕事を行うことも、まだ保育園に通っていない0歳の子どもを育てながら自分のやりたい仕事を行うことも、豆から挽いてハンドドリップのコーヒーで一息つくことも、心地よいことなのだ。

悠子さんは「仕事と暮らしがシームレスにつながり、行ったり来たりしながら、それぞれを循環させていくことが心地よい」と語る。

「妊婦だから」、「0歳育児中だから」とステレオタイプにはめて何かを諦めることはしない。「私はどうしたいの?」と心の声に耳をかたむけ素直に従っている。

その在り方は子育て、仕事での相手との関わり方でも共通している。「あなたはどうしたい?」、「あなたの心地よさってなんだろう?」とまっすぐな瞳で問いかけてくれる。

彼女が心地よさを探究するようになったのには、どのようないきさつがあったのだろうか。

ブランディングプランナーに導かれるまで

太田悠子さんは、1984年、広島県に生まれた。父と母、兄2人という家族だ。父は歯科医院を営んでいる。天真爛漫で、常に膝にはカサブタがあるような活発な子どもだったと言う。

悠子さんは中学生になると英語が好きになり、海外や異文化に興味を持ち始める。自転車で行ける狭い世界から飛び出して、海を渡って広い世界を見たいという好奇心が湧いた。高校生の時に夏休みを利用してカナダへ短期留学する。その時、家の壁にDIYでペンキを塗る場面に出くわした。その光景が今も脳裏に残っていると言う。

「色が変わるだけで雰囲気もガラッと変わるし、気持ちも華やかになるんだと驚きました。空間にはパワーがある、ドラマを生み出す力があるって思いました」

悠子さんはそれまで大学で英語を学びたいと考えていたが、この出来事により進路を変更する。建築やインテリアを学ぼうと決めたのだ。

大学卒業後、悠子さんは東京で店舗の内装会社の営業として働き始めた。男社会の厳しさを目の当たりにし、傷つくような言葉もかけられた。商業施設の内装工事は、基本的にお店の営業終了後の夜間に行う。彼女は営業職であったが、夜間に現場に足を運ぶこともあったし、電話がかかってくることもあった。

文字通り昼夜を問わず仕事に邁進する日々。それでもめげずに続けられたのは、「お客様の想いが空間というカタチに育っていく様子にワクワクしたし、楽しかったから」だと言う。プロジェクトが完成すると達成感で満たされた。

悠子さんは、空間としてカタチになる前の企画のプロセスや、ビジュアルや魅せ方が人の行動心理にどう影響を与えるかに興味を持った。その興味関心をより深めていくため、キャリアを順調に積んでいく。2社目では、ライフスタイルに特化した展示やイベント企画を手掛けた。その中で、地方に眠る良いものを東京でどうプロモーションしていくかに思考をめぐらせた。高知県や石川県など、ものづくりの現場に何度も足を運んだ。

「どんなに職人さんがこだわりと愛情を込めて作っていて品質が良いものであっても、人に知られていないものや見向きもされないものも沢山あるのだと知りました。逆に、品質はそこそこだとしても人の心を捉えて、多くの人に届いているものもある。この差って何なのだろう、どうしたらこのこだわりの商品を手に取ってもらえるだろうとずっと考えていました。そこから広報、PR、ブランディングをもっと知りたいと考え、広告代理店に転職しました。2社目、3社目の経験は、今の仕事にダイレクトにつながっていますね」

3社目の広告代理店ではプランナーとして、人・モノ・サービスの魅力を見つけ、それを必要としている人へ届けるサポートをすることにやりがいを感じた。

順調なキャリアを積む一方、抱えていたモヤモヤ

はたから見ると“都会で華やかな業界でかっこよく働く女性”だが、彼女の内側にはモヤモヤとした行き場のない苦しさもあった。

「仕事は順調で楽しかったけれど、ずっとどこかで生きづらさや、居心地の悪さを抱えてもいた」と言う。それは人との関わり、自分自身との関わりの中で感じていたものだった。

「当時は周りの人の顔色を伺い、自分の意見は後回しにして、みんなが良ければそれで良いという考えでした」と語る。

学生時代に女子校の人間関係で揉まれ、この考えは根が張られた。

「波風を立てぬように振る舞っていた。自分の意見が言えなくて、どっちでもいいよ〜!と、よく言ってましたね。自分は我慢すればいいやって思ってました」と当時を振り返る。

空間を作るにせよ、イベントや広告、プロモーションをプロデュースするにも多くの人が関わる。そこでは、それぞれの考えが噛み合わないこともある。また会社内で人間関係の板挟みに遭い、理不尽な感情をぶつけられることもあったと言う。

「今だったらもっと上手くやれていたと思うけれど、あの頃は仕事でも人の意見を優先して、自分の意見は通しすぎないようにしてましたね。かなり周りの人に気を遣っていたと思います」

それまで抱えてきた違和感と向き合った育児休業期間

会社員時代は違和感やモヤモヤを感じていたという悠子さんだが、現在は「自分らしく生きやすくなった」と語る。転機になったのは、長女の出産と育児休業だった。

「それまで目の前の仕事に一生懸命で、自分についてじっくり考える時間がなかった。自分の心地よさに目を向けられてなかったですね」と振り返る。

仕事では相手の想いを聞き要望に応えていたが、自分自身に矢印を向け、内なる声に耳を傾けることはなかったのだ。残業や持ち帰り仕事も多い業界だ。労働時間から睡眠時間を引いたらほとんど余白はない。

悠子さんは「当時、育休を心待ちにしていましたね」と語る。

「そろそろ自分の声も聞いてあげたら?」と娘からの時間のプレゼントだったのかも知れない。

社会人になって約10年第一線で走り続けていたが、はじめて仕事から一旦離れてゆっくり立ち止まった瞬間だった。34歳だった。

これまで常に人に囲まれ、にぎやかな環境にいた悠子さん。出産後ほとんどを自宅で過ごし、赤ちゃんと向き合う生活にはギャップが大きかっただろう。「赤ちゃんは可愛いけれど、急に社会とのつながりがなくなって孤独を感じた」と語る。 その静かなる孤独の時間、じっくり自分と向き合った。

それは自分の感情にフタをして人に合わせて生きることへの居心地の悪さ、違和感を丁寧にすくい上げていくことだった。そうして浮かびあがってきたことは、これからは他人に向けるのと同じように自分の声にも耳をかたむけて、“自分らしく心地よく生きていく”という想いだった。

太田悠子(Ota Yuko)

ブランディングプランナー/ヨガインストラクター  広告代理店など会社員15年を経て独立。主に個人事業主の方に向けて広報・ブランディングのサポートと産後ママ向けのヨガクラスを行うなどマルチに活躍する。

【Information】Litlink  / Instagram / stand.fm

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後編では、“自分らしく心地よく生きていく”と決めた悠子さんの現在の活動や、仕事観、今後のビジョンなどを伺います。後編もどうぞお読みください。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。(執筆者:江川ともよ)


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