暮らしも働き方も柔軟に!等身大のジブンで生きていく【整理収納アドバイザー藤井みちれさん後編】

前編では、整理収納アドバイザーとして活動する藤井みちれさんの幼少期から挫折の連続だった社会人時代、その先に見つけた自身の強み、整理収納との出会いを伺いました。この後編では、コロナ禍で始めた整理収納アドバイザーの活動、理想と現実、入院の経験、みちれさんが見つけたちょうどいい働き方や、今後のビジョンを聞きました。

おかたづけサポートcomfy(コンフィ) 藤井みちれ

整理収納アドバイザー 

「みつけていこう!これからの暮らし、これからのジブン。」をコンセプトに整理収納・片づけで、忙しい子育て世代のママをサポート。兵庫県川西市・大阪北摂地域を中心に、心理タイプ別片づけ術診断やワークショップなどのイベント出展も行う。所属先マムズサポートでは主に高齢の方への掃除、片づけ、料理などの家事代行スタッフを務める。

コロナ禍で整理収納アドバイザーの活動を始動

藤井みちれさん(以下みちれさん)は2019年に整理収納アドバイザー1級を取得し、友人のお家を片づけするところから仕事をスタートさせた。その後、第3子を出産し育児に専念する。整理収納アドバイザーの活動をいつから再開しようかと考えていた矢先、コロナ禍に突入する。

彼女は、看護師や保育士など感染リスクを追い役目を全うする人たちを見て、居ても立っても居られなくなった。

「整理収納で、コロナ禍で家で過ごすことが増えたお母さんたちの力になりたい」と考え、2020年にオンラインで片づけ相談のサービスを始める。当時、みちれさんの子どもたちは長女5歳、次女2歳、長男1歳だった。

「コロナ禍で生活が一変する中、家を心地よい空間にととのえる重要性をより感じました。ストレスを抱えているお母さんたちの助けになりたいと思いましたね」

「最初は無料のモニターさんをドキドキしながら募集しました。申し込んでくれた方とオンラインでお話しして、片づけの悩みが解消されて喜んでもらえた時は、嬉しくてめちゃくちゃ泣きました。自分の好きなことで人の役に立てることに感動しましたね」

みちれさんがこれまでずっと求めていた仕事で得たかった感情は、「心から好きなことで人に感謝されること」だった。

彼女はそこからオンラインで片づけ相談や、整理収納の講座を行った。ブログやInstagramでの発信もまめに行い、全国から彼女のもとに片づけの相談が寄せられるようになった。

2021年からは兵庫県川西市を中心にご自宅に伺う片づけの訪問サービスを再開し、地域のイベント出店も行い精力的に活動の幅を広げていく。整理収納の学びも継続し、お客様の心理タイプに合った片づけ術の診断を取り入れるなどサービスメニューも進化を遂げていった。

理想と現実、そして入院

整理収納を伝え、お客様の生活に良い変化を起こせることが楽しくて、もっと多くの人に伝えていきたい想いでみちれさんはますます仕事に打ち込むようになる。当時は四六時中、仕事のことで頭がいっぱいになっていたと振り返る。

「私の中で『こうなりたい』という目標があり、目標に向かって頑張っていました。いつの間にか目標がプレッシャーとなり、自分を追い込んでいました。ブログは毎日更新する、インスタは週に3回は投稿すると意気込んでいましたが、いつしかそれが『しなければ』になっていたように思います」

「仕事は楽しくて、依頼をいただけることもありがたかったのですが常に肩に力が入っていて、仕事のことが頭から離れなくなっていました。そこに3人の子育てもある状況がキャパオーバーになり、過呼吸になって一度倒れて救急車で運ばれて入院したんです。集客や売上など理想と現実のギャップを埋めるために、『もっと、もっと頑張らなくては』と根詰めすぎていたんでしょうね」

彼女は仕事も子どもたちのお世話もない病院の静止した白い空間で、自身の感情に向き合った。気づけば涙がポロポロとあふれていた。

みちれさんの中で「整理収納が好き、多くの人に広めていきたい」という想いは変わらない。けれど、想いを伝えていくにも「体と心の健康の土台があってこそ」と痛感する。

彼女の心の豊かさのベースは「自分や家族がホッとできる空間を保てる穏やかな暮らし」、そして「家族との時間も自分の時間も大切にすること」だと気づいた。

この出来事は息継ぎを忘れるほどの早さで走り続けていた彼女が、一旦立ち止まって現状やこれからの働き方、生き方を見つめ直すきっかけになった。

彼女は「これからは自分の大切にしたいことを大切にし、周りに流されることなく自分のペースで伝えていこう」と覚悟する。

その後、整理収納サービスのコンセプトに「みつけていこう!これからの暮らし、これからのジブン。」を掲げる。

これらはみちれさん自身が大切にしたいことでもあり、仕事も家族もすべてを1人で背負い込んでなんとかしようとする女性たちへのメッセージでもある。

子どもの成長や、パートナーの転勤や転職など働き方の変化、家族の形は変わり続けるもの。そして自分も変化していく。その時々で、自分にとってのちょうどいいサイズ感を把握し、生きやすいように生活の基盤となる暮らしをクリエイトしていこう。そして、「今」と「未来」を繋げていこう。そんな想いが込められている。

今の自分にちょうどいい働き方

2023年、みちれさんは働き方も等身大の自分を大切にしていくと決めたタイミングで、縁あって家事代行と整理収納を展開する組織マムズサポートに出会う。

最初に代表の方に、みちれさんの当時の思いの丈をぜんぶ伝えた。すると想像以上に現状を受け止めてくれたそうだ。「お役に立てたら」という気持ちが膨らみ、個人の整理収納アドバイザーの活動を継続しながら、マムズサポートのスタッフとして働くことになる。

「整理収納や片づけを通して喜んでもらえることが私の1番やりたいことなので、個人事業に固執しなくてもいいのかも知れないと心境の変化がありました」

彼女はIT企業で培ったPCスキルを活かし、マムズサポートの動画や資料作成なども行っている。

「代表の手が回っていないところを、私のこれまでの経験を活かし貢献できるのは嬉しいです。家事代行も整理収納も共通するのは、家をととのえること。繋がっているんです、整理収納も家事代行も。どちらも対応できることで相乗効果にもなりますし、整理収納だけでは見えなかった世界も見えてきて面白いです」

「幼い子を育てる忙しいお母さんや自分の母親世代の方にたくさん喜んでもらって、日々やりがいを感じます。また、私自身が安心して働けるんです。自分や子どもたちが体調を崩した時も、他のスタッフが代わって訪問してくださるのも、とても助かっています。個人の場合には代わりのスタッフがいないので、ここがかなりプレッシャーでもありましたから」

現在は、この個人事業と所属先とでバランスをとった働き方がちょうどいいと語る。

「個人でがむしゃらにやってきた期間があるから、組織の中で気づけることもあります。反対に、個人の活動に活かせることもあって、整理収納アドバイザーを始めてからこれまでで1番良い状態で仕事に取り組めていますね。お客様への提案の幅も深さも増しています」

肩の力を抜いたら、個人の整理収納アドバイザーの活動も円滑に進んでいった。2023年3月には掃除用品を取り扱う企業で60名の従業員の方を前に整理収納の講座を行うなど活動の幅を広げている。

同年、整理収納アドバイザーの交流会や勉強会も企画し、同業者の横のつながり作りにも寄与している。

「整理収納アドバイザーの交流会でお話しすると、多くの方は過去の私と同じように育児と仕事の両立に悩みを抱えていることを知りました。特に子どもが小さいうちは、仕事に全ての時間を注げるわけではありません」

「整理収納アドバイザーで独立してやっていく方法もありますが、私のように個人の活動と組織に所属して働き方をミックスすることもできます。自宅訪問の現場の仕事だけでなく、オンラインも含めて講座をする講師の道もありますし、すでに活躍してる方のアシスタントに入ることもできます」

暮らしも働き方も世の中で良いとされているものに基準を合わせるのではなく、自分の価値観を大切にし、フレキシブルに変化していくことが、自身の幸せを叶えていくコツだと語る。

「私も末っ子の手がかからなくなるまでは、今の個人の活動と所属先での活動をミックスした働き方を続けていこうと考えています。ライフステージの変化に合わせて暮らしを都度ととのえるのと同じように、働き方だって柔軟に変えていっていいと思っています」

「どの職種でも言えることですが、家族の時間も大切にし、自分のやりたいことを叶えていく方法は1つじゃなくて色んな形があるんだと思います。整理収納と同じで、その人のライフスタイルや大切にしたい価値観によってベストな形は変わってくるし、人の分だけ正解があるんだと思います」

「好きを仕事に」と叫ばれるようになった現代だが、好きな仕事を続けていくためには彼女のような固定概念に縛られないしなやかな考え方も必要不可欠なのだろう。

片づけ、整理収納へのブレない想い

みちれさんが整理収納や家事代行でサポートしたいのは忙しいお母さんだ。これは起業を志した時から変わらない。

「特に朝は時間との闘いですよね(笑)余裕を持って子どもたちを起こしているはずなのに『あれ?もうこんな時間?急げー!』となりますよね」

「必要なモノがすぐに見つかる、子どもたちが少しでも自分で用意してくれる。そうして1分でも2分でも時間ができたら、お母さんの気持ちに余裕ができて『いってらっしゃい』と子どもたちを送り出すことできます。お母さんも、子どもたちも、家族みんな、朝からイライラしなくていいところで消耗してほしくないんです」

彼女の家では新しいモノを家に迎える時には不必要なモノを手放す。モノの置き場所は誰が見てもわかるようになっている。

「家族の中で『あれどこ?』というやりとりや、探し物をする時間が減って、家事がスムーズに進むと、お母さんの負担が減って、間違いなくストレスも減ります。すると、家族のふとした会話が増えたり、いつもより心に余裕を持って子どもの話を聞けたり、自分のホッと落ち着ける時間が増えたり……と良い循環に繋がります」

彼女は3人育児の毎日でも、モノと自分の価値観と真剣に向き合い、暮らしに余白を生み出したことで、やりたいことへ挑戦することができた。

整理収納で人を幸せにする覚悟は、みちれさんをたくましく成長させた。

「モノと向き合うことで、自分の素直な気持ちにも向き合うきっかけになったらと思います。仕事や育児が忙しくても自分時間も欲しい、家族との時間を楽しみたいと思っているお母さんたちの毎日が輝くお手伝いがしたいです」

「そのためヒアリングに力を入れています。どこに困っていて、どう改善したいのか、どんな風に暮らしたいのか、その奥にある想いは何か。お客様の暮らしをイメージし、お客様やお客様の家族にとって最善の提案をしています」

彼女は、整理収納アドバイザーはやっと見つけた天職だと言う。

「今、お客様に提案する時にはサービスを売るという意識はないですね。『どうしたら目の前の方の要望を叶えられるか?』とひたすら考えて、話しているだけです。あんなに苦手だったのに、『私、営業できてるやん!』ってびっくりしてますね(笑)」

「家やインテテリアは大好きですし、誰かの困ったを想像しサポートすることが得意なので、それを活かして本当に楽しく働けています」

彼女は共感力に優れ、お客様1人1人の悩みを親身に聞いてくれる。一緒にこれからの暮らしを考えてくれる。

彼女の提案は、日常のあらゆるシーンを想像し細部まで想いを寄せ、お客様が笑顔で心地よく過ごせることが軸となっているのだ。

販売や営業で成果が上げられず苦しかったこと、お客様の具体的な困ったシーンに寄り添いサポートで認められたこと、マイホームを建てる時にワクワクしながら収納を考えたこと、育児に奮闘し散らかるおもちゃと格闘したこと、開業当初に体調を崩すほどに頑張ったこと、その経験のひとつひとつがみちれさんの今に繋がっている。

彼女の名前は漢字で書くと「美千令」だが、初めましてのお客様になんて読むか悩ませないよう、話しやすい印象を持ってもらえるようにと平仮名で活動している。そんなところにもお客様へのきめ細やかな配慮が感じられる。

みちれさんの今後のビジョン

自身の健康、家族との暮らしも大切にしながら個人+所属先で整理収納アドバイザーとして活躍するみちれさんにこれからのビジョンを伺った。

「個人の活動では、地域のマルシェやイベントに出店するのを続けていきたいですね。整理収納や片づけに興味はあるけれど、一歩が踏み出せていない人へ具体的なアドバイスをして、暮らしと向き合うきっかけになれたら嬉しいです」

「所属先のマムズサポートでは、家事も家族以外の誰かに頼ってもいいこと、しんどい時や助けてほしい時は無理をしないことを伝えていきたいです。整理収納や家事代行サービスがもっともっと広がって、罪悪感を持たずにご依頼をしていただける社会にしていきたいです」

「そのためにお客様にご意見をいただき、代表やスタッフみんなと定期的にミーティングを重ねてよりよいサービス環境を整えていくことを少しでもサポートできたらと思っています」

「また、現在ありがたいことに人手が足りなくなっています。家事代行スタッフは、主婦の経験を活かせるやりがいのあるお仕事です。整理収納アドバイザー1級をお持ちの方で、一緒に働いてくれるスタッフを大募集しています。ご興味のある方はマムズサポートまでお問合せくださいね!」

マムズサポート10周年の食事会にて。右手前マムズサポート代表、左手前みちれさん。他家事代行スタッフ、整理収納アドバイザー、野菜ソムリエプロなどが在籍しています。

「プライベートでは、幼い子どもたちとの今だけの会話や暮らしをもっと楽しみたいですね。あとは、今の仕事でいただいたお金を貯めて、眉毛のアートメイクもしたいです。お客様のお宅で汗だくになっても眉毛が消えないように(笑)!それから、お客様や周りの人を楽しませられるもっと面白い人間になっていきたいです」

みちれさんはお茶目に笑った。彼女はインタビューの中で何度も「忙しいお母さんたちの力になって喜んでもらいたい」と言っていたのが印象的だった。

心からお客様の喜びを願い、誠実に仕事をするみちれさん。彼女と一緒に家に向き合ったのならば、家も気持ちもととのい、心の内側に清々しい風が吹いてくることだろう。それは私たちの人生をやわらかく前に進めてくれる風だ。

おかたづけサポートcomfy(コンフィ) 藤井みちれ

整理収納アドバイザー 

「みつけていこう!これからの暮らし、これからのジブン。」をコンセプトに整理収納・片づけで、忙しい子育て世代のママをサポート。兵庫県川西市・大阪北摂地域を中心に、心理タイプ別片づけ術診断やワークショップなどのイベント出展も行う。所属先マムズサポートでは主に高齢の方への掃除、片づけ、料理などの家事代行スタッフを務める。

【Information】Litlink  / Instagram / ブログ

みちれさんのマルシェやイベントへの出店情報はInstagram、ブログをチェック!

兵庫県、大阪府でサービスを受けられるみちれさんも所属する家事代行&整理収納のプロ集団マムズサポートについてはこちら

編集後記

本編に入りきらなかったのですが、紹介したいエピソードがあります。みちれさんの家のリビングでは、子どもごとにおもちゃを置く場所を決めているそうです。「棚からあふれたら、本人と一緒におもちゃを整理し、もう必要ないモノを手放す。どんなに好きなモノでも、限られたスペースに入る分だけ」と話してくれました。

子どものおもちゃ収納の話ですが、私たちが生きていく上での大事なエッセンスにも通じます。

ついつい私たちは「あれもやりたい、これもやりたい」と欲張りになってしまいがちです。でも、自分のキャパシティを超えて、あふれるほど抱えようとしても上手くいかないものです。必要のない物事は潔く手放して、大切に向き合うことができる量と誠実に付き合っていくべきなのだろうと思いました。

モノと向き合うことは、奥深いですね!筆者も不要なモノを捨てて、家をととのえたいと思います!

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。(執筆者:江川ともよ)


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