「何者かになりたかった私」が家を片づけて見つけた天職【整理収納アドバイザー藤井みちれさん前編】

2010年にコンマリこと、片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんの書籍「人生がときめく片づけの魔法」は世界40カ国以上で翻訳され、シリーズ累計1300万部を超える世界的大ベストセラーに!

2019年よりNetflixでスタートした「KonMari—人生がときめく片づけの魔法—」は190カ国で放映されている。

家を片づけてととのえることは、なぜ多くの人を魅了するのだろうか。

それは人生を前向きに進めるパワーを秘めているからだ。家の状態は、心の状態にも影響を与える。

今回ご紹介するのは、兵庫県で整理収納アドバイザー、家事代行スタッフとして活躍する藤井みちれさんです。

彼女は片づけ、整理収納に出会う前はさまざまな仕事をするも、他人と比べ自信が持てなかった。

しかし家をととのえることで、自分の判断基準や価値観が少しずつハッキリし、「自分はどうしたいのか、どう思うのか」を相手に伝えられるようになった。

そして、「好き」や「強み」を活かして個人でビジネスを始め、等身大で「私」を生きられるようになった。 自分の暮らしやモノと向き合うことは、心を晴れやかにし、ひいては人生を好転させる。

藤井みちれさんのSTORY、ぜひ最後までお読みください。

おかたづけサポートcomfy(コンフィ) 藤井みちれ

整理収納アドバイザー 

「みつけていこう!これからの暮らし、これからのジブン。」をコンセプトに整理収納・片づけで、忙しい子育て世代のママをサポート。兵庫県川西市・大阪北摂地域を中心に、心理タイプ別片づけ術診断やワークショップなどのイベント出展も行う。所属先マムズサポートでは主に高齢の方への掃除、片づけ、料理などの家事代行スタッフを務める。

整理収納と片づけの力で、忙しい女性をサポートしたい

藤井みちれさん(以下みちれさん)は、個人事業「おかたづけサポートcomfy」で整理収納アドバイザーとして活動している。

家事代行と整理収納を展開する組織マムズサポートにも所属し、スタッフとして現場に伺うことはもちろん内部の仕組みづくりにも精を出している。

インタビューが行われたのは初夏の太陽が降り注ぐ午後。みちれさんは爽やかな笑顔で登場した。

「今の時期は汗だくになって、お客様のお家で作業をしています。ちょっとカッコ悪いんですけど、汗が床に垂れないように首にタオル巻いて、作業が終わるころには眉毛は消えてますね(笑)」

「整理収納や家事代行で、目の前の方が喜んでくれることが何よりも嬉しいんです。好きなことをして感謝してもらえる瞬間が、私の生きがいになっています」

みちれさんは、顔をくしゃくしゃにしながら笑って話す。「裏表がなくピュアで、清潔感がある」これが筆者がみちれさんに感じた第一印象だった。

「過去いろんな仕事をしましたが、自分の好きなことでお金をいただけることって、なんて幸せなことなんだろうと思います。私にとって、整理収納や家事代行の仕事は本当に楽しくて、こんなに自分に合う仕事はこの先出会えないだろうと思っています。私の特性や好きを活かせる仕事をやっと見つけることができたので、これからも絶対続けていく!整理収納や家事代行で忙しいお母さんたちに喜んでもらうぞ!って決めています」

彼女の目に迷いはない。嬉々として語るみちれさんだが、自分に向いている仕事がわからなくて、自信が持てなくて迷走していた時期があった。彼女のこれまでの歩みを見ていこう。

島でのびのび育ち、雑貨屋を夢見た少女時代

みちれさんは1984年、三重県鳥羽市の信号のない小さな島に生まれた。島で唯一の八百屋の娘として、周囲の人に可愛がられてのびのびと幼少期を過ごす。彼女は4人兄弟の末っ子だ。

小学校の同級生は9人。学校の友達も島の大人たちもみんなが顔馴染みだった。彼女は、子ども時代に海に囲まれたのんびりとした豊かな環境で、人に対する信頼感を育んだ。

「ご近所さんもみんな良くしてくれましたし、島の人全員が親戚みたいなかんじでしたね。見かけたら『みっちゃん』ってみんなが声をかけてくれました。人と関わることのあたたかさを学ばせてもらったと感じています」

みちれさんは、恥ずかしがり屋な子どもだった。それでも、島のあたたかい人達のおかげで「人と関わることが好き」こんな気持ちが自然に芽生えていた。

中学生、高校生になると毎日船に乗って本土に渡り学校に通った。お笑いが好きになり、ネタ帳をお笑い好きの友達と作って、「何かネタになる面白いことはないか?」を探す日々。「自分が楽しい!」と思えることに全力だった。

家やインテリアへの興味もこの頃からあった。姉が家を出るタイミングで自分の部屋が割り当てられたのが印象に残っていると言う。

「当時、古着や雑貨にハマっていました。スヌーピーグッツを集めて自分の部屋のスチールラックに飾るのが楽しかったです。模様替えを考えるのも好きで、しょっちゅう模様替えをしていました。中学の友達と雑貨屋を開くのが夢になり、その友達と大阪で雑貨屋巡りをしたり、スケッチブックに店名を考えたりしていましたね」

高校卒業後は大阪の雑貨を学ぶ専門学校に進み、夢だった雑貨屋さんで販売の仕事に就職した。

憧れの仕事に就くも挫折の連続

みちれさんは大好きな雑貨屋の仕事をスタートするも、販売実績を思うようにあげることができなかった。1年ほどで今度はアパレル企業の販売職に就いた。同じように接客の壁にぶち当たり1年で退職する。

「雑貨やお洋服は好きでしたが、売って結果を残すことが出来ませんでした。お客様と話すのも楽しかったんですが、売ろうとすると上手くしゃべれなくて……。結果を出している同僚と比べて『自分には向いていないのかも』と辞めてしまいました。扱うものは好きでも、売るスキルと結びつかなくてモチベーションが保てなかったですね」

その後、飲食や派遣の仕事をしながら、「これからどうしていこうか、いっそ大阪から三重に戻ろうか」と2、3年思い悩んでいた。

彼女は「私は〇〇です」と胸を張って言える肩書きが欲しかった。何者でもない自分がちっぽけに思えて、「今いる環境から逃げ出したい」そんな心境に陥っていたと語る。

「この頃は迷走していましたね。手に職を持っている友達が羨ましくて、資格も何もない自分には自信がなくて。周りと比べてばかりで辛かったです」

そこから彼女はIT企業の営業職で8年勤めることになる。一体、彼女に何があったのだろうか。

「ネガティブ思考に陥っている時に和田裕美さんの本を読みました。『かっこいい!こんな人になりたい!!』と営業職にチャレンジすることにしたんです。単純ですね(笑)」

「人前でぐいぐい話すことに苦手意識がありましたが、営業の力でお客様の課題を解決できたら、自分に自信が持てるかも知れないと思ったんでしょうね」

和田裕美さんは、営業やコミュニケーションなどをテーマに執筆、講演を行い、自己啓発書やビジネス書を多数出している方だ。

営業で見つけた自身の強み

「自分を変えたい!」この一心でみちれさんは営業の世界に飛び込む。彼女は飲食店向けのメール会員システムを担当していた。飲食店に電話でアポイントを取ったり、飛び込み営業をしたりする日々が続く。

アポイントが取れず落ち込む、アポイントが取れて提案しても契約には繋がらない。先輩や上司に同行をお願いしたこともあった。

「今度こそ仕事ができる人になるんだ」という想いを胸に、毎日終電まで事務所に残り、試行錯誤していた。

「3〜4年営業を頑張りましたがなかなか成果が出せませんでした。同僚と比べ、営業成績を上げられない自分が悔しくて、情けなかったです。頑張りたいのに、足が動かない。そうして、飛び込み営業に行くのが怖くなりました。私ってダメだなって、自分を責めていましたね」

すっかり意気消沈してしまったみちれさんに、見かねた上司が営業の中でも新規営業ではなくサポート部隊の仕事を割り当ててくれた。これが転機となる。

「販売促進サポートの仕事は私に合っていて初めて結果を出せました。契約中の飲食店のオーナーさんにシステムを使いこなしてもらうために管理画面の説明資料を作ったり、お店のお客様に送るメールの例文を考えたりしてサポートしました」

「オーナーさんが困っていることや、やりたいことを聞いて、具体的に活用提案を考えました。お店のお客様に足を運んでもらうために誕生日や雨の日の特典などを提案して、それを採用してもらいお客様の来店に繋がった時は嬉しかったですね」

きめ細やかな対応と誠実さでお客様との信頼を積み重ねた。彼女がサポートの仕事をするようになってから、システムの解約率が大幅に減ったと言う。

「“誰かの困ったを考えてサポートすること”が私の強みだと気づかせてもらえたのは、8年間お世話になった会社で経験させてもらったおかげですね。当時はあまり意識してませんでしたが(苦笑)」

飛び込み営業が怖くなっても、そこで会社を逃げ出さずに踏みとどまって、粘り強く続けたことで彼女は自身の特性に気づけた。

みちれさんはこれまで経験した仕事の話でいずれも「職場の人はみんな良い人たち」、「人には恵まれた」と何度も口にした。

自分の特性と仕事内容のミスマッチ感に悩むことはあっても、職場の人間関係で嫌な思いをしたことはないそうだ。彼女は、無意識に人の良いところに目を向けることができるのだろう。それも彼女の才能だ。

「人が好き」、「人の役に立ちたい、喜んでもらいたい」という彼女の純真さがサポートする仕事と見事にハマり、結果に繋がっていった。

片づけ、整理収納との出会いが人生の転機に

彼女は結婚のタイミングでIT企業を退職し、その後はサポート力を活かし医療事務の仕事をしていた。医療事務へそれなりにやりがいを感じてはいたが、好きを仕事にすることへの憧れが消えることはなかった。

結婚し、子どもも生まれ幸せだったけれど、仕事に対しては「これは私がやりたいことなのだろうか」と自問を繰り返した。好きなことを仕事にしている友達を見ると、無意識のうちに自分と比較し虚しさが込み上げることもあった。

そんな時、運命の出会いが訪れる。2人目のお子さんを妊娠中に整理収納アドバイザーという仕事を知る。当時、アメーバブログで暮らしやインテリアを発信している人の記事を読むのが好きで、その中で偶然目にしたと言う。

「子どもの頃から模様替えが好きだったことや、結婚して家を建てる時に収納や間取りを考えることがすごく楽しかったこと、子どもが産まれてからもごちゃごちゃしないインテリアや、片付けやすい仕組みなどに興味を持っていたのでそれらが一気につながりました。仕事にするかどうかの前に『整理収納のことを学びたい!まずは自分の家で試してみたい!』と強く思いました」

彼女は妊娠中の大きなお腹で、兵庫県猪名川町から車で1時間かけて大阪の心斎橋のスクールに通い、整理収納アドバイザー3級、2級と学んでいく。

学びを実践していくと、家がスッキリしていくのと同時に、自分の無意識の思い込みに少しづつ気づいていく感覚があった。

「最初に整理収納をした時は『置いているだけで、使っていない物が結構多い』と衝撃でしたね。私は写真や手紙などの思い出のモノを捨てることが出来なくて全部取っておくタイプだったんです」

「コンマリさんの本を読んで『今の自分が見て、ときめくか』、『この先、自分が見て嬉しい気持ちなるモノか』と1つ1つモノに向き合っていく作業は、自分自身の価値観をあぶり出すことでもありました」

「思い出のモノを捨てられない根底には、“思い出のモノを捨てる人は、思い出を大切にしない薄情者だ”という思い込みがあったことに気づきます。“思い出のモノを捨てても、気持ちは変わらない”とその思い込みを手放すことができました」

今の生活に必要なモノだけを残し、家族もわかりやすい収納にすることで日々のストレスが軽減した。

「家族から『あれどこ?』と聞かれることも少なくなりました。聞かれても、『○○にあるから、自分で探してみて~』と伝えやすくなりましたし、子どもたちの成長に合わせて見直しをしているので、子どもたちもできることは自分でやっています」

「結果的に私がイライラすることも減って、子どもたちも自分で選ぶ楽しさや、『自分でできた!』という満足感につながっています」

さらに性格にも変化をもたらしたと語る。

「不要なものを手放すことを繰り返していくと、自分の判断基準がだんだんクリアになります。新しいものを買う時には『本当に必要?』とよく考えられるようになりました」

「もともと優柔不断でご飯屋さんで食べるメニューもなかなか決められないタイプでしたが(笑)、モノと向き合うことで自分がどうしたいかが次第にわかってきました。自分が大切にしたいものが今は明確で、自分の気持ちを大切にすることもできるようになってきましたね」

彼女にとって整理収納は自分との対話の一種だった。家をととのえたことで、自身の本心に繋がり、好きなことを仕事にすることでずっと心に抱えていた「何者かになりたい」モヤモヤも晴れていった。次第に人と比べず「私」のサイズで生きていけるようになった。

彼女は2019年に整理収納アドバイザー1級の資格を取得し、忙しい女性の暮らしをサポートする道を歩むと決めた。

好きを仕事にし整理収納アドバイザーとして走り出したみちれさんですが、このあと仕事に熱中するあまり体を壊してしまいます。

後編では、コロナ禍で始めた整理収納アドバイザーの活動、理想と現実、入院の経験、みちれさんが見つけたちょうどいい働き方や、今後のビジョンを聞きました。後編もどうぞお楽しみください。

おかたづけサポートcomfy(コンフィ) 藤井みちれ

整理収納アドバイザー 

「みつけていこう!これからの暮らし、これからのジブン。」をコンセプトに整理収納・片づけで、忙しい子育て世代のママをサポート。兵庫県川西市・大阪北摂地域を中心に、心理タイプ別片づけ術診断やワークショップなどのイベント出展も行う。所属先マムズサポートでは主に高齢の方への掃除、片づけ、料理などの家事代行スタッフを務める。

【Information】Litlink  / Instagram / ブログ

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兵庫県、大阪府でサービスを受けられるみちれさんも所属する家事代行&整理収納のプロ集団マムズサポートについてはこちら

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。(執筆者:江川ともよ)


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